家づくりにおけるホリスティックな視点

ホリスティックな家づくりを徹底解説

ホリスティックな家づくりの手法について解説します。ホリスティックとは全体的、総合的な意味を持つ概念です。この概念を家づくりに導入する際、心身と精神の側面を包括的に捉えることが重要となります。

ホリスティックな考え方は、医療や美容の分野で40年以上前から取り入れられていんですよ。ホリスティック医療は、身体の外見だけでなく内面からのアプローチを重視します。また、ホリスティック美容は外見の美しさだけでなく、内面の美しさを追求するものとされます。

家づくりにおけるホリスティックな視点

ホリスティックな家づくりとは、住まいを物理的な構造物としてのみ捉えるのではなく、居住者の心身と精神の健全性を総合的に実現する空間として構築することを指します。具体的には以下の点に留意する必要があります。

1. 心理的側面 – 家は安らぎと落ち着きを与える空間でなければならない。
2. 身体的側面 – 家は健康で快適な生活を送れる機能的環境を備えている。
3. 精神的側面 – 家は居住者の内面の成長を促し、よりよい人生を送る場となる。

このように、ホリスティックな家づくりでは、住まいの構造や設備のみならず、居住者の幸福な生活の実現を目指す統合的なアプローチが不可欠です。

ところが、ホリスティックな概念は住宅・建築業界において未だ広く浸透していません。多くの住宅がホリスティックな視点から計画されていないのが現状です。一方、海外ではホリスティック住宅に関する情報が非常に多数存在しています。Google検索で「How to build a holistic house」と入力すると7億3000万件もの関連情報が表示されるのに対し、日本語での検索結果は70万件に過ぎません。

海外の先進事例

海外事例

フランスのウェブサイト「Dressarte Paris」では、ホリスティックデザインの概念について以下のように説明しています。

1. ホリスティックデザインとは、住宅を全体として捉えるアプローチである。物理的構造のみならず、空間が生み出すエネルギーや雰囲気も重視する。

2. 天然素材の使用が推奨される。木や石、植物などの自然素材は落ち着きを与える。

3. 間取りやレイアウトは、空間のエネルギーの流れに大きな影響を及ぼす。

4. 色彩選択も居住者の気分やエネルギーに影響するため、慎重に行う必要がある。

5. 最も重要なのは、居住者個人の嗜好や個性に合わせてデザインにパーソナルなタッチを加えることである。

つまり、ホリスティック住宅とは、天然素材、レイアウト、色彩を個人に合わせてトータルに計画した快適で魅力的な空間を指すと解釈できます。

このようにホリスティックな住宅づくりの概念は海外で既に広く普及している一方、日本ではまだ十分な認知が得られていません。日本の住宅業界がこの概念を取り入れ、居住者の心身の健全性を総合的に実現する住環境の提供に努める必要があるのではないでしょうか。

海外の事例研究

海外事例

ホリスティック空間に関する海外の書籍事例を検証してみましょう。建築家アンジー・チョーの著書「Green Design with Feng Shui Background」では、風水の知見とグリーンデザインの原則を住宅に実装することを提唱しています。具体的には、屋内に自然を取り入れる手法が示されているのです。同書は高い評価を得ており、ホリスティック空間デザインへの一つの示唆を与えているようです。

和風住宅との比較検討
一方で、日本の伝統的な和風住宅は、自然素材の使用、自然光の取り入れ、借景などの手法を用いてきた経緯があります。このような観点から、和風建築こそがホリスティック住宅の理想形ではないかと考えられます。しかし現代人の嗜好は多様化しており、伝統的な和風住宅以外のスタイルを求める人も多いということを忘れてはなりません。

現代におけるホリスティック住宅のあり方
現代の住宅では、壁紙、家具、カーテン、小物など様々な人工素材が用いられています。単に自然素材や自然の取り入れのみを推奨しても、現代人の生活スタイルに合致しないおそれがあります。したがって、ホリスティック住宅の実現には、自然素材などの伝統的な要素だけでなく、現代のインテリアデザインとも調和させる必要があると考えます。

つまり、ホリスティック住宅は自然や伝統に完全に依拠するのではなく、現代的な暮らしとのバランスを重視すべきであると思います。海外の事例も参考にしつつ、日本の伝統と現代デザインの良さを組み合わせた新しいホリスティック住宅のあり方を模索していきましょう。

陰陽の概念と住宅デザイン

従来の住宅デザインは、陽の理論に基づいていました。陽とは顕在的な意識や合理性を指し、機能的で美しい外観デザイン、動線計画、構造設計など、頭で考えられた側面に重きが置かれてきました。しかし、古代中国の陰陽論に基づけば、陽だけでなく陰の概念も重視すべきであると考えます。

陰とは、潜在的で無意識的な側面を指します。住宅デザインにおける陰は、居住者個人の心身と魂の充足を意味するのです。海外の先進事例が示唆するように、居住者個人のニーズにパーソナライズされたデザインこそが、陰の設計に他ならないと言えるのです。

現状では、一般論に基づく機能的で合理的な住宅デザインが主流であり、実際の居住者個人の嗜好が十分に考慮されていません。つまり、陽の設計は進んでいるが、陰の設計が不足している。ホリスティックな住宅を実現するには、陰陽を統合し、個人の心身と魂の充足を目指したデザインが不可欠となるのです。

したがって、今後の住宅デザインにおいては、陰の設計を強化し、家族構成員一人一人のマインド、ボディ、ソウルに合わせたパーソナライズされた計画が求められると考えます。居住者個人の潜在的ニーズを深く掘り下げ、それを空間デザインに反映することで、初めてホリスティックな住環境が実現できるのです。

風水思想における陰陽と五行説

風水

風水には「陽の風水」と「陰の風水」の2つの概念があります。陽の風水とは、住宅の外観デザインや方位、間取りなど、物理的環境を最適化することを指します。一方、陰の風水は居住者個人の運気を高める技術体系であり、五行説に基づいています。

五行説とは、宇宙万物を木・火・土・金・水の5つの元素で構成されているとする古代中国の自然観です。さらにこの五行は、人体の臓器や感情とも深く関わりがあるとされています。具体的には、肝臓は「木」に、心臓は「火」に、脾臓は「土」に、肺は「金」に、腎臓は「水」にそれぞれ対応しています。また、怒り(肝)、喜び(心)、思い悩む(脾)、悲しみ(肺)、恐れ(腎)の感情も五行と関連付けられているのです。

人体は五行の要素で構成されているが、そのバランスは個人差が大きい。体質的な強み弱みや持病、性格の個性は、五行のアンバランスが一因とされる。特に健康面では、五行の偏りが病気の原因になるため、個人の五行を平均化することが重要視される。

つまり、陰の風水とは個人の五行のバランスを整え、心身の健康と人生の充足を実現することになります。ホリスティックな住宅を実現するには、陽の風水による物理的環境デザインと併せて、陰の風水による居住者個人の五行バランス調整が不可欠なのです。

五行調整のための色彩計画

五行のバランスを調整するためには、従来、東洋医学における漢方薬や薬膳料理などが用いられてきました。しかし住宅デザインにおいては、内装の色彩計画がその役割を担います。壁紙やカーテンの色選定は、居住者個人の五行バランスを平準化することが目的となるのです。

五行のアンバランスは個人差が大きく、過剰な要素と不足する要素があります。例えば、ある居住者の「木」の要素が過剰な場合、さらに緑色などの「木」の色を内装に多用すれば、肝臓などの関連臓器に負担がかかり、健康被害が生じかねません。逆に「木」が不足する居住者に緑色を控えめにすれば、木の欠乏による症状が現れる可能性があると考えます。

このように、内装色は個人の五行バランスと深く関係しているのです。これまでインテリアコーディネートでは、単に居住者の「好み」の色を選んでいましたが、それは本能的に自身の五行バランスを保とうとする無意識の現れに過ぎません。一方で、「好み」の色を強く反映させすぎれば、かえって五行のアンバランスを助長してしまう危険性も含んでいるのです。

したがって、ホリスティック住宅実現のためには、コーディネーターが居住者への綿密なヒアリングを行い、科学的根拠に基づいて個人の五行を分析し、その上で色彩計画を立案する必要があります。単なる「好み」ではなく、健康増進の観点から内装色を設計することが肝要なのです。

ホリスティック住宅実現への課題

これまでのインテリアコーディネートは、居住者個人の五行バランスを考慮していませんでした。単に「好みの色」を採用するだけでは、かえって居住者の健康を損なうリスクがあるのです。一方で、コーディネーターに五行の知識があれば、適切な色彩計画により健康増進に寄与できたでしょう。しかし現状ではその専門教育が行われておらず、居住者自身が主体的に学ぶ必要があるのです。

ホリスティック住宅を実現するには、居住者が陰の風水の考え方を理解し、自身や家族の五行バランスを把握した上で、内装色などを決定することが現状では不可欠です。色彩は健康に大きな影響を及ぼすため、その選定は慎重に行わなければなりません。単なる美的嗜好ではなく、科学的根拠に基づき健康維持につながる色彩計画が求められているのです。

一方でインテリアコーディネーターには、五行説を含む陰の風水に関する専門知識が乏しいのが実情です。そのため居住者自らが主体的に学び、コーディネーターに適切な指示を出す必要があります。居住者と設計者の双方が陰陽を意識した上で協働することで、初めてホリスティックな住環境の実現が可能になると言えるでしょう。

まとめ

ホリスティック住宅は従来の発想を超え、陰陽の調和によって心身の健康維持を目指す新しいコンセプトになります。そのためには陽の風水だけでなく、陰の風水による居住者個人の五行バランス調整が不可欠です。この概念の普及には、居住者自身が積極的に五行説を学び、設計者と協働する姿勢が求められるでしょう。

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ホリスティックルームコーディネーター

前職はインテリア商社の営業マンながら物販の経験はゼロだったため、オーダーカーテンの通信販売における提案に限界を感じていた。そんな時に"陰陽五行"の存在を知り、コーディネート提案に仕組みを導入。

現在は、有限会社インテリアクレールで「初対面でも一瞬で顧客を虜にし、即決されるコーディネートスキル」を提供することを企業理念として、初心者からベテランまで幅広くインテリアコーディネーター向けにスキルアップの仕組み提供を行っている。

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